研究・教育理念
ツーリズムの時代、
地域の魅力とオリジナリティーを探る
この専攻が対象とする「観光」は、いわゆる旅行業に関連する狭い範疇で捉えることはできません。ここではさらに広い「ツーリズム」という概念で問題群を捉えながら、その地域に暮らす人々=ホストと、その土地に感動や交流を求めて訪れる旅行者=ゲストとによって織り成される相互的な価値創造活動に着目し、これらの現象を検証、分析しながら、地域が発信すべき魅力やオリジナリティーの再発見を試みます。その上で、修士課程2年間の目標は「地域文化プロデュース」という核概念のもとに、地域創造のための実践的学知の体系化を図りつつ、地域経済の開拓や発展に取り組める「地域牽引型イノベーター」を育成することにあります。
世界に通用する次代のリーダーを目指して (Master or Doctor)
マニュアル化した部分適応型の解では、最早、21世紀経済を切り拓くためのビジョンを描くことはできません。この専攻では、地域の経済や企業活動のみな らず、地域の社会、文化、環境までを包括的に捉えて、「幸せ経済」に向けて、今という時代が求めるホリスティックなソリューションを明確に提示できる変革 志向のリーダーを養成しようとしています。また、その活動は国内に限定されるものではなく、グローバルなツーリズム事業にも活躍できるように、修了時に授 与される学位は、国際的にも適用する M.Sc. (Master of Science in Tourism Management)、修士 (学術) としています。このことは、経営学専攻の MBA、経済学専攻の経済学修士と併せて、大阪府立大学大学院経済学研究科・ビジネススクールにおける学位選択の幅が、大きく拡張したことも意味していま す。また、経済学研究科博士後期課程 (いわゆるドクターコース) にも、2013 年4 月から、観光・地域創造分野が追加され、 Doctor of Economics 博士 (経済学) の取得が可能になります。
「問題解決策」より「問題発見能力」を
この専攻の特色は、観光と地域の創造研究のための新領域を開拓するために、観光資源や景観の「マネジメント」、地域及び目的地の「マーケティング」、生 活文化の「デザイン」、この3 つを基幹的課題分野として設定し、各分野で展開される個々の研究を「地域文化プロデュース」を中核概念とする研究領域へと有機的・総合的に統合することを 教育プログラムの基本的なフレームワークにしています。このフレームワークは、ともすれば個別具体的な研究対象やフィールドごとに、アドホックに拡散分裂 しがちな観光研究を確かな理論的基盤と方法論に裏打ちされた俯瞰的視野から整序し、さまざまなタイプやスタイルの研究を相互に関連づけながら進められま す。その意味においても、理論と現場の実践をつねに往復する挑戦的な研究活動です。「答えのある問題集」をお勉強することが大学院の目的ではありません。 「解のない問題」を考え抜くために、その方法論を学ぶ。だからこそ、修士の学位を取得する意味があります。あるいは、さらに高度な学術研究のためのドク タープログラムで経済学博士に挑戦。私達はそのためのクリエイティヴな生産拠点なのです。